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2019 08/17

広島・黒田博樹氏が考える、正しい投球フォーム 「長く投げる」ために大切なこととは?



 日米通算20年間のプロ生活で通算533試合(505試合に先発)に登板し、203勝を挙げた黒田博樹氏。驚くべきは長い現役生活で大きな故障もほとんどなく、プロ最終年となった41歳のシーズンでさえ150イニング超を投げ、10勝、防御率3.09の成績を残していることだ。「40歳を超えると体もきつく、中6日のローテで回るにはだんだん時間が足りなくなってきた」と言う黒田氏だが、それでも人並外れて長く“投げる体”を維持できたのはなぜか。その体験談と、後進たちへのアドバイスを聞いた。



――黒田さんはどこで、どうやって自分にとっての“正しいフォーム”を作ったのでしょうか?

 僕の場合、フォーム作りを強く意識したのはプロ(広島)に入ってからですね。入った当時(1997年)は今とは違い、まだ“投げ込み”の全盛期。多くの球団がキャンプでは200球、300球と投げて調整していました。それが良いか悪いかは別にして、その中で自分の疲れないフォーム、体に負担がかからないフォームが自然と身についたのではないかと思います。

――アマチュア時代に、「これが正しいフォーム」というものを教わったことは?

 ピッチャーはそれぞれ手の長さ、足の長さ、身長も筋力も違うので、全員に当てはまる投げ方はないと思うんです。だから、自分に合った投げ方を自分で探していくしかない。逆に言うと高校、大学で主軸になるようなピッチャーのフォームを見れば、それ相応のパフォーマンスが出せる投げ方をしているはずです。ただ、パフォーマンスのみを重要視してしまうと体に負担がかかりすぎてしまう怖さも出てくると思います。

――黒田さんはプロ入り後、ほとんど故障知らずのイメージがありますが、プロ入り前はどうだったのですか?

 僕は中学、高校時代に肩や肘に大きな怪我をした記憶はありません。高校時代は夏の大会でもそんなに放っていないですしね。ただ、脊椎分離症……腰の疲労骨折のような状態にはなりました。僕の周りでも、腰の怪我は多かったんです。まだ体が完全に出来上がっていない、骨がしっかりと出来上がっていない中、ピッチャーに限らず野手でもハードな練習をすると腰に負担がかかり、そういった症状が出るそうです。まず休んでから、トレーニング、病院、治療院巡りをしました。高校が推薦するトレーニングジムにはドクターもいらして、体のケアや故障しにくいトレーニング方法を教わった記憶があります。

 大学1年になって初めて、肩を壊しました。そこで悔しい思いをしたので、また肩のケア、トレーニング方法など、自分なりに勉強しました。そこは投げ方うんぬんより、ケアのほうが中心でしたね。

――自分に合ったフォームは、年々変わってくるものですか?

 特にプロに入ると、毎年体の仕組みは変わってきますし、1年1年、可動域も変わってきます。だから、常に同じ投球フォームが自分にとってベストかというと、それはなかなか難しい。僕自身、20代前半の投げ方、30代前半の投げ方、アメリカに行ってから、そして40歳近くになったときのベストのフォームはそれぞれ違いました。違ってくるのは当然だと思っていましたから、そこで頭の切り替えはうまくできたと思います。



――肩、肘を痛める原因は実際、どんなところにあるのでしょうか?

 僕が日本、アメリカといろいろな世界を見てきた限りでは、それがすべてではないですが、スピン量の多いピッチャーは肘に負担がかかりやすいんじゃないかと思います。スピン量が多いということは当然素晴らしいストレートを投げる投手であり、誰もが求めるところですが、その反面、怪我のリスクも背中合わせという難しい部分もあるように思います。

――投げ方の面からいうと、どうでしょうか。

 外国人投手に比べると、日本人投手は上半身に頼り切った投げ方をすると、肩や肘に負担はかかりやすいのではと思います。やはり上と下のバランスが大事で、昔から「下半身を使って投げなさい」と言うのは、日本人投手に合っていると感じます。特に体の出来上がっていない時期に上体だけで投げてしまうと、肩やヒジへの負担が当然大きくなると思います。

――理想的なのは小中学生の時点で、フォームの良し悪しを見極められる人が周囲にいてくれることでしょうか?

 そうですね。ただアメリカを見ていると、投球フォームのバリエーションがかなり多くて、メジャーでも「そんな投げ方で、よくここまで来たな」というピッチャーを何人も見てきました。それをすべて同じ投げ方で型にはめてしまうと、優れた潜在能力を持っているピッチャー、ポテンシャルの高い子どもたちが、どんどん小さくまとまってしまう怖さも少し感じますね。もちろん、怪我だけを考えれば怪我に強いフォームもあるのでしょうが……。

――アメリカに行ったとき、マウンドなどの違いによって体に負担がかからないよう、フォームを微調整した、あるいは何か変えた部分はありましたか?

 マウンドに関してはあまり意識しないようにしていました。ただアメリカに来てから、フォーシームを極力少なくし、ツーシームを多投するようになりました。というのも、自身で打者の反応を見た中で、早い時期にこのフォーシームのスピン量ではアメリカでは勝負にならないと判断し、ツーシーム主体にスタイルを変えました。ツーシームの方が体の負担が軽いだろうとは思っていましたが、実際に体の反応や打者の反応を見ながらスタイルを変更したところ、自分に合っていたようです。これが結果的に自分の体の負担を軽減し、年間200イニング投げられる一つの要因になったと自己分析しています。

――アメリカ式の調整方法には、どうやって慣れていったのですか?

 登板間隔がまったく違いますから、当然日本式の調整の仕方をいったん捨てて、アメリカ式に変えました。日本のときはだいたい中6日なので、登板日から中4日空けて5日目にブルペン入り。翌日1日空けて、次の登板という感じでした。ブルペンに入るのは基本的には1回、たまに2回入ることもありました。肩を回復させる時間が4日間あったので、若い頃は自分で納得いくまでの球数は投げていましたね。ただし、アメリカから日本に帰ってきたときは、アメリカ式の30球前後にしました。体がそれに慣れてしまったのと、年齢も重ねてきたので、極力球数を少なくした形です。

――メジャーの中4日の場合は、ブルペンはどこに入れるのでしょう?

 僕は中1日ですね。試合で投げて、翌日1日肩を休めて、次の日に投球練習です。まだ回復しない中、30球ほどでもブルペンで投げるのは、慣れるまでちょっときつかったです。

 でも、4日間の使い方を考え、当番日まで2日間空けて体を回復させようとすると中1日のブルペンがベターでした。ベストを求めるのはなかなか難しいので、常にベターを求めて調整していました。



――メジャーでは、キャンプから球数制限をしていると聞きましたが?

 キャンプから、球数はあまり投げ過ぎないように管理されています。キャンプインして1回目のブルペンは、だいたい30球くらい。それから中1日空けながら10球、20球と球数を増やします。開幕後に先発する日からすべて逆算して、キャンプ、オープン戦と球数含め、コーチが管理していくんですよ。ただ、僕はオープン戦まで少なめの球数で、いきなり公式戦で球数が増えては体に負担がかかると思っていたので、個人的に1月の自主トレ中に一度ピークを作って、100球以上投げるようにしていました。

 それはなぜかというと、メジャーの主流として100球で交代というメドがありますが、試合で100球といっても、試合前のブルペンでの投球練習で仮に30球投げていれば、それで130球。加えてイニングの間に投げる投球練習が7、8球と考えると、100球で交代してもトータルでは150、160球投げる計算になる。そう考えると、キャンプ中に100球をメドに状態を上げていっても、体はなかなかなじみません。例えばマラソンでも、42キロを走ったことのない人が、いきなりレースで42.195キロを走ってもペース配分が分からないし、体のピークの持っていき方も分からないのではないでしょうか。僕はそれが怖くて、投球日を作っていたわけです。あくまで僕の調整法でありますが。

――100球が目安になっている意味については、どうお考えですか?

 なぜ100球という数字なのかは、正直よく分かりません。ただメジャーのシーズンは長くて試合数も多いので、1年間怪我をせず中4日でローテーションを回ってほしい。そこで無理をさせない数が、100球ということなんでしょう。とはいえ、アメリカもすべて100球とは限らないんです。前後の登板日が中5日空いているとか、スケジュールによっては100球以上投げさせることもありますし、前回は早いイニングの降板で球数が少ないのであれば今回は110球まで、というように臨機応変であったように思います。

 日本でも100球、100球と言いますが、日本は中6日あるので、そこまで100球にこだわる必要はないと思います。当然無理をさせない前提ですが、それぞれのチームで置かれている立場、その投手のスタミナによっては投球数に幅があってもいいものだと思います。

――今野球をしている子どもたちが故障をせず、長く野球ができるようになるためにはどうすればいいと思われますか?

 プロ野球という日本のトップリーグがあるなかで、そのトレーナーやコンディショニングコーチは、経験も知識も非常に豊富だと思うんです。僕も現役生活の中でたくさんのトレーナー、メディカルスタッフの方々に助けていただきました。もしかしたらすでにそういった取り組みが進んでいるのかもしれませんが、プロとアマの関係性として可能であるなら、彼らとアマチュア野球の団体が……例えば高校生なら都道府県の高野連が入って、学校単位ではなく指導者を集めて最新のトレーニングやケアについて、情報提供し、意見交換をする。当然球数制限も大事ではありますが、それと共に正しいケアの仕方をもっと下の世代に流していってあげることも必要なのではないでしょうか。

 ただ一生懸命投げる、強く投げる、速く投げることだけでなく、これから先、自分の体を守って「長く投げる」ためにはどんなことに気をつければいいか。指導者はもちろん、子どもたちの意識も変えていければいいですね。例えば「自分は股関節が硬い」と思ったら、硬いなりに動かしながら、硬さを強さに変えるとか。今はトレーニング方法も豊富に見つかりますから、自分なりに多方面にアンテナを張り、プラスになりそうだと思ったものにどんどんチャレンジしていけば、自分に最適なトレーニング方法もきっと見つかるのではないかと思います。

(企画構成:株式会社スリーライト)



1975年2月10日生まれ。大阪府出身。上宮高から専修大を経て、96年にドラフト2位(逆指名)で広島に入団。2001年に12勝を挙げ、自身初の2桁勝利をマークするなど、広島のエースとして活躍。04年はアテネ五輪に出場し、日本代表の銅メダル獲得に貢献した。05年は15勝で最多勝、06年は防御率1.85の成績を残し、最優秀防御率のタイトルを獲得。07年オフにドジャースへFA移籍し、12年にヤンキースに移籍。15年に古巣の広島に復帰し、16年のリーグ優勝に貢献。16年、NPB通算124勝105敗、MLB通算79勝79敗の成績を残し、現役を引退した。なお、日米通算イニング数3340回3分の2はNPB、MLBの経験者として歴代最高となっている。

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